沿岸小学低学年で高く 今年度児童生徒ストレス調査 新型コロナ影響も【岩手】
県教委は、東日本大震災後に県内の児童生徒が抱えるストレス状況を把握する「心とからだの健康観察」の2022年度調査結果を公表した。優先的に教育相談が必要とされる「要サポート」の児童生徒の割合は、県全体で前年度に比べ0・4ポイント高い12・5%。津波被害を受けた沿岸部の小学校低学年で高い傾向が続いている。
今年度は8月26日~9月16日に公立小中高、特別支援学校の計526校、10万8095人を対象に調査。回答した10万5229人のうち、12・5%に当たる1万3154人が要サポートとなった。
沿岸部(12市町村)14・8%(前年度比0・5ポイント増)、内陸部(21市町村)12・0%(同0・4ポイント増)で、津波被害があった沿岸部で高い傾向があった。特に沿岸部では小学1年が21・5%、同2年が22・0%でともに20%を超えるなど小学校低学年で高く、高校で低くなる傾向が見られた。
「つらかったこと」と聞かれて何を思い浮かべるかの項目では、「大震災」と答えたのが沿岸部7・8%、内陸部5・2%でいずれも前年度より減少した一方、「他の大変なこと」と答えたのは、沿岸部28・1%、内陸部27・5%でともに増加した。「思い浮かばない」と答えたのは、沿岸部53・2%、内陸部56・4%などとなった。
震災を知らない小学校低学年で高い傾向となっていることについて県教委は、「新型コロナウイルスの感染拡大による緊張や不安、経済的な問題や家庭環境など保護者の不安やストレスの影響を少なからず受けている」と分析している。
今後の対応について、県教委は小中高全ての公立学校で心のサポートに関する授業などを行う事業を継続。千田幸喜生徒指導課長は「学校や子供たちの実態に合わせて授業を展開してもらうようにしたい」と話している。