一関・平泉

疫病退散 豊穣祈願 裸男ら気勢上げる 長徳寺蘇民祭 藤沢【一関】

柴燈木登りで気勢を上げる男衆
本堂には蘇民祭を再現した人形も並んだ

 一関市藤沢町保呂羽の長徳寺(渋谷真之住職)で5日、蘇民祭が行われた。蘇民袋を奪い合う「袋ねじり」を中止するなど規模を縮小したが、裸男たちは水垢離(ごり)や柴燈木(ひたき)登りで気勢を上げ、疫病退散や五穀豊穣(ほうじょう)、家内安全を祈願した。

 同祭保存協力会(不動尊蘇民祭精進講本部)が主催。同市花泉町にあった不動尊を1894(明治27)年に同寺が譲り受けて以来継承し、129年目を迎えた。以前行われていた袋ねじりは一時中断したが、10年ほど前に復活。現在に至るが、今回も新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止することにした。

 同日は朝から青空が広がる好天に恵まれた。下帯姿の男衆は水垢離で身を清めた後、境内の不動堂前で前回取りやめた柴燈木登りを繰り広げ、「ジャッソー、ジョヤサ」の勇ましい掛け声を響かせた。見学者らには厄よけの縁起物である小間木が配られた。

 同寺本堂には、地元の「慶壽庵手芸の会」(吉田てい子代表)の会員が手作りした布細工がお目見え。色鮮やかなつるし飾りのほか、蘇民祭にちなんで水垢離や柴燈木登り、袋ねじり、別当登りなどのシーンを再現した人形の数々が並び、参拝者をもてなした。

 同寺で継承される蘇民祭は、地域や宗派を問わず心のよりどころとして来場者を受け入れるのが特徴。長年見学に来ている男性(65)は「コロナ禍前には精進料理の提供やアトラクションなどがあって楽しみに来ていた蘇民祭。ここ何年かは争奪戦(袋ねじり)もなくて寂しいので、来年こそは」と期待していた。

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