一関・平泉

地域の歴史伝えたい 創作演目、12日に初披露 一関・萩荘 古内神楽

創作神楽「小松の柵の合戦」の稽古に励む古内神楽保存会。12日に第35回一関民俗芸能祭で初披露する予定だ
地域の歴史を伝えようと取り組んでいる古内神楽保存会の会員

 一関市萩荘の古内神楽保存会(千葉悦雄代表)は、12日に同市大手町の一関文化センターで開かれる第35回一関民俗芸能祭で、創作神楽「小松の柵の合戦」を初披露する。会員が史実に基づいて台本を執筆したオリジナルの演目で、地域の歴史を神楽として伝えていこうと稽古に励んでいる。

 「小松の柵の合戦」は、平安時代後期に東北地方で起きた前九年の役で18日間に及んだ長期戦で、軍記物語「陸奥話記」にも記されている。同市萩荘字谷起島付近は「小松の柵」の擬定地とされ、古内集落にはその戦死者を葬ったとされる「五輪塚」が残っている。

 同保存会が創作神楽「小松の柵の合戦」に取り組むことにしたのは、2022年3月に萩荘地区まちづくり協議会が発刊した昔話集「萩之庄の伝説 昔あったつもな」がきっかけ。昔話集には物語として脚色を加えた「『小松の柵』の合戦」が収録されており、編集委員で同保存会の一員でもある小野寺聖悦さんが「これは神楽として表現できるのではないか」と考え、同年12月に原作者で萩荘ふるさと学習塾塾長の齋藤初美さん、同保存会の千葉代表から了解を得て台本を書き上げた。

 小野寺さんによると、せりふに萩の馬場、大繋小繋、尾花が森、五輪塚、要害などの地名を織り込みながら神楽らしい構成になるよう苦心したという。

 本番を控え、同保存会は萩荘市民センターで稽古を重ねている。現在の会員は10人で、初舞台を踏んでから1年に満たない会員が複数いるものの、創作神楽をより良い演目にしようと全員で熱心に取り組んでいる。

 小野寺さんは「古内神楽は経験の浅いメンバーが多いが、この創作神楽を通じて地域の子供たちに地元の歴史を伝えたいと感じている」と仲間の思いを代弁する。

 1950年代から活動している千葉代表は「古内神楽は天保年間の面が残っているほど伝統がある」とし、「今の子供たちには地域の歴史が伝わらなくなっている。一朝一夕には舞えない難しさはあるが、『こういうことが地域にあったんだ』ときちんと伝えたい」と話している。

 第35回一関民俗芸能祭は午前10時開演。同保存会はプログラム最後に出演する予定。チケットは一関文化センターで販売している。

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