北上・西和賀

連携密に難工事対応 業者が技術報告 国道107号地滑り応急仮設・西和賀

国道107号地滑り災害の復旧工事について報告する業者関係者

 2021年5月に西和賀町大石地区の国道107号沿いで発生した地滑り災害の応急仮設工事完了を受け、県南広域振興局北上土木センターは8日、復旧工事に携わった業者らによる災害技術報告会を北上市内で開いた。急峻(きゅうしゅん)な山の斜面で、道路下に湯田ダム貯水池があるなど地形的に厳しい場所での難工事について、タイトな日程の中、各施工業者は各種対策を講じ、連携して取り組んだことを示した。

 北上地区合同庁舎を会場にオンラインも合わせて県、市町村職員、建設業者、コンサルタントの56団体、225人が参加。同センターの及川郷一所長が21年5月1日の宮城県沖を震源とする地震による大規模地滑り発生から、22年11月30日の仮橋供用開始までの経過を説明した。

 地質調査に当たった業者は、地滑りで人の背丈ほどの滑落崖が連続200メートル確認されたとし「以前からごくわずかな地滑りの発生が考えられる。風化劣化しやすい地質に背後が傾斜で、地下に水が浸透しやすい条件がそろっていた。この年は過去6年で最も多い降雪量で、そこに連続した降雨で融雪が一気に進み、地下水が上昇し地滑りが発生した」と説明した。

 別の業者は地滑りの変動が連続する中、出水期や融雪期の崩落を抑えるために応急盛土を設計。降雪期前の完成が求められ非常に厳しい日程の中、施工業者は「発注者や設計者、施工者による現実的な施工を検討して1カ月ほど工期を短縮し、現場でも課題解決へ緊密に連携して期限が迫る状況でもスムーズに施工できた。下請業者の協力も大きい」と語った。

 さらに、仮橋に必要な鋼管杭が台風の影響で輸送が遅れたが「当初の計画を変更して工期短縮を考慮した対策を講じ、無事故無災害で降雪期前に完成できた」「当初軟岩と思っていたが、中軟岩だったため工程が遅延したが、全体の工程を精査し遅延を挽回(ばんかい)した。水上施工も天候に恵まれ、思い描いた水位調整ができた」などと説明した。

 及川所長は「地理的、日程的に厳しい条件下、各業者と関係機関が連携して対処いただき工期に間に合った。この対応を今後に生かしてほしい」と話した。

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