復興、世界平和祈願 節目迎え十三回忌法要 中尊寺、毛越寺【平泉】
東日本大震災発生から12年の節目を迎えた11日、平泉町の中尊寺(奥山元照貫首)と毛越寺(藤里明久貫主)で物故者十三回忌法要がそれぞれ営まれた。同寺では法要に先立ち3・11平泉浄土のあかりin毛越寺も行われ、犠牲者の冥福と被災地の早期復興はもとより、争いのない平和な世界の実現を祈願した。
発災時刻の午後2時46分を前に始まった中尊寺本堂での法要には、一山の住職をはじめ福聚(ふくじゅ)教会中尊寺支部や一般参拝者らが参列。奥山貫首を導師とした読経後は、十三回忌の節目として同支部会員が御詠歌と御詠歌舞を組み合わせた物故者回向の奉詠舞を奉納した。
発災時刻には、境内の旧鐘楼に納められた680年前鋳造の梵鐘(ぼんしょう)(県有形文化財)が12年ぶりに鎮魂の音色を響かせる中、2017年に天台宗が本堂中庭へと建立した慰霊供養塔前で一山の僧侶と一般参列者が焼香。法要に先立ち奥山貫首は「旧鐘楼の梵鐘は中尊寺の歴史を伝える貴重な文化財だが、物故者の冥福と今なお通常の生活に戻れない多くの方の心に響くよう特別打鐘した。被災地に皆さまの生活が平穏なものに戻り、復興が成し遂げられるよう心よりお祈り申し上げる」との談話を寄せた。
3・11平泉浄土のあかりin毛越寺は、NPO法人みんなでつくる平泉(小野寺郁夫理事長)が主催。7回目を迎えた今年は夢灯(あか)りやあんどんのほか、新たに「お寺のローソクリユース3・11」と銘打ち、同寺と中尊寺で使われなくなった短いろうそく306本に「復興」「世界平和を願う」など、震災はもとより国内外での災害や紛争などで命を落とした人たちの霊を弔うメッセージを記した折り紙を巻き付けて点灯した。
「いのちは大切」と折り紙に書いた佐々木沙也さん(11)=奥州市立衣川小学校5年=は「命が大切なのは一人ひとり皆同じ。震災で亡くなった多くの人のためにと参加した」と語り、静かに手を合わせていた。