花巻

汽笛一声力強く 今季引退 SL銀河出発式【花巻】

今季で引退するSL銀河。25日の出発式には県内外のファンらが詰め掛けた=JR花巻駅

 今季で引退する蒸気機関車「SL銀河」の運行が25日、始まった。東日本大震災の復興支援や地域活性化を目的に、2014年からJR釜石線花巻―釜石間を走行してきたSL銀河。花巻市の花巻駅では出発式が行われ、ホームには乗客やファンが多く詰め掛け、出発を見送った。【13面に関連】

 SL銀河は、1940(昭和15)年製のC58型蒸気機関車で、廃車後に盛岡市の県営運動公園内に展示されていた車両を復元した。客車は4両編成、定員176人で、内装も含めて宮沢賢治の世界観を表現している。

 2014年から約480本を運行し、乗客数は約7万人。復興のシンボルとして親しまれてきたが、客車が老朽化したため、今年6月で運行を終了することが決まった。

 JR盛岡支社によると、25、26の両日のチケットは完売。花巻駅で行われた出発式では記念撮影ブースが設けられたほか、記念乗車証約800枚が配布された。花巻市の春日流八幡鹿踊(ししおどり)保存会による演舞も繰り広げられた。

 木村光一駅長が手を挙げて出発を合図すると、SL銀河は汽笛を鳴らし、黒煙をたなびかせて走り出した。ホームには乗客らが写真を撮ったり、手旗を振ったりして雄姿に胸を躍らせた。

 家族と乗車した一関市の松本岳大ちゃん(5)は「SLが大好き。SL銀河にはずっと乗りたかったからすごくうれしい」と目を輝かせた。

 県外ファンも多く訪れた。神奈川県の野口隆之介君(11)は「きょうの日を楽しみにしていた。最後のシーズンの初日に乗れるのは本当にうれしい」と喜び、母親で花巻市出身の麻里子さん(37)は「諦めかけていたが、チケットが取れて良かった。SL銀河は復興の象徴で、岩手の観光にも大きな役割を担ってくれた」と目を細めた。

 SL銀河は今季、土日を中心に上下計26本の運行を予定。最終の定期運行は6月4日で、同月10、11日の団体臨時列車が最終運行となる。

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