花巻

松沢川発電所が完成 花巻・豊沢川土改区 年間29万キロワット見込む

豊沢川土地改良区が整備した松沢川小水力発電所。4メートルの落差を利用して発電する=花巻市湯口字蟹沢地内

 豊沢川土地改良区(久保田泰輝理事長)が花巻市湯口字蟹沢地内で整備を進めてきた松沢川小水力発電所が完成し、28日に現地で安全祈願が行われた。同土改区による農業用水路を利用した小水力発電所は今回が初めて。年間発電量は最大約29万キロワットを見込んでおり、同土改区では売電事業の収益で組合員の負担軽減を図るとともに環境に優しい小水力発電の魅力を市民に発信していく。

 農業水路等長寿命化・防災減災事業の一環で、2017年度に調査事業を始め、20年度から工事を進めてきた。設置場所は主要地方道花巻平泉線の北側を通る北幹線水路付近。縦型特殊スクリュー発電水車2基が設置された。総事業費は約2億3181万9000円で、国が55%、県が25%を補助、残り20%を同土改区が負担した。

 開発した4メートルの落差を利用して発電する方式。最大使用水量は2トンで、最大出力は48・1キロワット。最大発電量の29万キロワットは、年間で一般家庭50世帯分の発電量に相当する。

 東北電力に売電し、年間約1000万円の収入を見込んでいる。うち600万ほどを同土改区の維持管理費に充てる考えだ。同土改区では太陽光発電事業にも取り組んでいるが、小水力発電は太陽光発電よりも電力の買取価格が安定しているという。

 現地で行われた安全祈願には関係者ら約30人が出席。代表者が玉串をささげたほか、来賓らが祝辞を寄せた。神事後には水路のゲートを開けて発電施設への通水を行い、本格稼働を祝った。

 同土改区では再生可能エネルギー開発として、豊沢ダムにも最大出力約1900キロワットを見込む水力発電施設を新設する計画で、整備を進めている。

 久保田理事長(65)は「資材不足などの影響で竣工(しゅんこう)に遅れが出たが、無事完成することができた。世界的にエネルギー価格が高騰しており、この水力発電が貴重な財源となることを期待している。(小水力発電が)市民が環境問題を考えるきっかけになってくれれば」と願っていた。

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