大宮政郎さん軌跡紹介 絵画や写真600点展示 萬鉄五郎美術館【花巻】
デザイナー・芸術家として活躍し、2022年に92歳で亡くなった奥州市出身の大宮政郎さんの軌跡と功績を振り返る展示会が、花巻市東和町の萬鉄五郎記念美術館(平澤広館長)で開かれている。内なるエネルギーをキャンバスにぶつけたドローイング、斬新なオブジェなどが並び、大宮さんの芸術への情熱を来館者に伝えている。23日まで。
大宮さんは1930(昭和5)年生まれで、盛岡工業高校卒業後、岩手美術工芸学校に入学。63年に設立した前衛美術グループ「集団N39」の先導的なメンバーとして活動し、ドローイング、立体、版画、写真など多彩な表現を通じて独特の視点で現代美術と向き合ってきた。
作品数は約600点で、同館と隣接する八丁土蔵ギャラリーに展示している。絵画作品のほか、立体作品、写真、ティッシュやチラシを使ったアートなど多彩な作品が目を引く。
大宮さんは60年代に「人が高速で移動すると、進行方向の長さの感覚は狭くなり、対象が細長く感じられる」といった視点から独自の思想「人動説」を唱えた。「南昌山オブジェ」や写真「スリムフォト・パリ」など縦長に表現し、柔軟な思考で奇想天外なアイデアで人動説を作品で表現した。
東日本大震災発生後は、「天翔ける鬼」や「穴ザーストーリー」など目に見えない世界や内なるエネルギーをドローイング。晩年は病気のため失明に近い状態だったが、最後まで現役を貫いた。平澤館長は「作品数600点の大規模な展示会はなかなかない。岩手の芸術を長くリードしてきた大宮さんとその作品を多くの人に知ってもらいたい」と話している。
開館時間は午前8時30分から午後5時まで(入場は4時30分まで)。入館料は一般400円、高校生・学生250円、小中学生150円。月曜休館。問い合わせは同館=0198(42)4402=まで。