花巻

家族愛の映画 市民500人堪能 「銀河鉄道の父」試写会 役所さんらあいさつ【花巻】

舞台あいさつに立つ(左から)成島監督、役所さん、森さん

 宮沢賢治を支えた父とその家族の愛を描いた映画「銀河鉄道の父」の特別試写会は8日、公開に先駆けて花巻市若葉町の市文化会館で開かれた。父・政次郎役を演じた役所広司さん、賢治の妹役を演じた森七菜さん、成島出監督が登壇してあいさつし、地元を舞台に描かれた映画を約500人の市民が堪能した。

 映画は第158回直木賞を受賞した門井慶喜さんの同名小説が原作。映画化の経緯について成島監督は「間の抜けたというか、隙だらけでユーモラスで子煩悩どころか親ばかで、賢治がやりたいようにさせてあげた父親に魅力を感じ、この家族を描きたいと思った」と伝えた。

 撮影は2022年5月から6月にかけて行われ、市内の北上川近くの「下ノ畑」や、賢治が農業の知識や技術を講じた私塾「羅須地人協会」といった賢治となじみの深い場所でも行われた。役所さんは「羅須地人協会でのロケのシーンは賢治と政次郎の関係では一番幸せな時。妹の死から賢治が立ち直り、農業をしながら―」と物語の展開を言い掛けてためらう場面もあり会場の笑いを誘った。

 妹役の森さんは北上川の土手を自転車で軽快に走り「すごく気持ち良かった。風や川の匂いなど自然豊かな場所だった。太陽が出るまで2時間待ち、結果的に素晴らしい夕日になった」と振り返った。映画化のため何度も花巻に通った成島監督も「自然に囲まれ冬は厳しいが、この人の温かさ、岩手の土地柄が賢治、世界的な作家を育んだと思う」と語った。

 映画を鑑賞した橋本浩子さん(62)=同市=は、孫の夕典さん(9)と楽しみ「優しい家族の中でいつも見守っている父親がいて感動するシーンも多かった」などと話した。市民エキストラとしても参加した高橋信也さん(56)=同=は「感動した。家族愛ってすごい―と思わせる映画。多くの人に見てほしい」と語った。

 映画「銀河鉄道の父」は5月5日より全国公開される。

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