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芸術家の人柄、思い伝え 盛岡てがみ館企画展

本県ゆかりの芸術家の人柄や作品への思いを伝えている盛岡てがみ館の企画展

 本県ゆかりの芸術家の手紙を紹介する第67回企画展「いわての芸術家の手紙」は、盛岡市中ノ橋通の盛岡てがみ館で開かれている。作品制作の苦労や喜びなどがつづられた手紙を通じ、芸術家の人柄や作品に込めた思いなどを伝えている。6月12日まで。

 同展では、ともに同市出身で画家の深沢省三(1899~1992年)、紅子(1903~93年)夫妻をはじめ、紫波町出身の画家橋本八百二(1903~79年)ら芸術家7人に関する書簡や写真など計77点を展示している。

 このうち、紅子は石川啄木研究家で雑誌「新岩手人」の編集者だった吉田弧羊に「どうしても出来なくてこまって居ります」と手紙を送っており、依頼されていた新年号の表紙の完成が遅れて焦っている様子がうかがえる。

 省三が同じく吉田に送った見舞いに対するお礼の手紙では「亥歳(いと)しき身」「弧羊(こよ)なき」「ご笑読(消毒)」など駄じゃれが数多く含まれ、ユーモアのセンスが感じられる。

 画家の橋本八百二は美術展で特選候補とされながら入選に終わった作品「鉱夫作業」について「作品が特選のものより劣らぬことは確かです」とつづっていることから、作品への自信が見て取れるという。

 同館の中野千恵子主任学芸員は「手紙からは作品制作への焦りやこだわり、ユーモアなどが感じられる。岩手には優れた芸術家がいたことを知ってもらい、絵や彫刻など作品への理解を深めるきっかけにもしてほしい」と話している。

 開館時間は午前9時から午後6時(入館は5時30分)まで。休館日は毎月第2火曜(祝日の場合は翌日)。

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