北上・西和賀

「全国に魅力伝えたい」 「釜石ラーメン物語」先行上映 今関監督ら舞台あいさつ【北上】

観客との記念撮影に応じる今関監督(前列左)と井桁さん(同右)

 麺は細いが絆は太い―。今夏に全国公開される映画「釜石ラーメン物語」が、7日から県内の各映画館で先行上映されている。北上市本通りのイオンシネマ北上では9日、監督の今関あきよしさんと主役を演じた井桁弘恵さんが舞台あいさつを行い、多くの映画ファンを楽しませた。

 作品は、釜石市内のラーメン店「小川食堂」が舞台。東日本大震災で行方不明になった母の代わりに父と妹が必死に営業を続けていた。そこに3年前に家を飛び出した姉・正実が突然帰って来た。それぞれの思いで母を慕っていた姉妹は、その日から激しい衝突を繰り返し、ついには父が過労で倒れてしまう―との内容。

 昭和の面影が色濃く残り人情味あふれる同市小川町を舞台に、家族の再生を描いた物語で、正実役の井桁さんのほか、妹役の池田朱那さん、父親役のベテラン俳優の利重剛さん、母親役の佐伯日菜子さんが好演。陸前高田市出身の村上弘明さんが特別出演したほか、釜石市出身の新人俳優・佐々木琉さんが本作で映画デビューを果たした。

 映画は2022年4月に撮影が行われ、多くの市民がエキストラ出演するなど市を挙げて製作に全面協力した。

 舞台あいさつでは鑑賞した約120人のファンを前に、今関監督は「満員御礼で感無量。本当に感激している」と喜び、桜色のドレスを身にまとった井桁さんも「桜のすてきな季節に公開できてうれしい」と笑顔を浮かべた。

 釜石をロケ地に選んだことについて今関監督は「14年にSL銀河に乗って釜石を訪れた。特に大きな観光地ではない街のたたずまいに魅了され8年間通い続けた」と語り、「行くたびに食べていたラーメンを題材に、昭和の風情が残る小川町なら『寅さん』のような人情物が撮れる」と直感したという。

 井桁さんは「家族の物語を演じたいと思っていたのですごく楽しみにしていた。男勝りな立ち居振る舞いや川を挟んで大声で言い争うシーンは普段ではないことなので頑張りました。ラーメン作りも何度も練習したので、同じような仕事が来ても大丈夫」と笑った。

 今関監督は「震災を扱うにしても暗い映画にはしたくなかった。最後のシーンをやりたくてこの映画を撮っていたようなもの。釜石で元気になれる映画が撮れて、今はほっとしている」と語り、井桁さんは「物語を伝えるだけではなく、その土地の魅力や空気感が伝えられるのも映画の良いところ。釜石は特別な場所になった」と充実した表情を浮かべた。

 2人は最後に「全国に釜石の魅力を伝えたい。口コミやSNS(インターネット交流サイト)などで作品の感想を広めて」と来場者に呼び掛けた。

 釜石ラーメン物語プロモーション実行委員会は5月31日まで「釜石ラーメンスタンプラリー」を開催している。釜石市内の35店舗でラーメンなどを食べると、スタンプ数に応じて景品がプレゼントされる。

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