豊穣の秋期待 農地へ通水開始 胆沢・円筒分水工【奥州】
胆沢平野に春耕本番を告げる「徳水園」円筒分水工の放水式は21日、奥州市胆沢若柳の現地で行われた。分水工を満たした豊富な水が約9000ヘクタールの農地に向けて放たれ、関係者が豊穣(ほうじょう)の秋に期待を込めた。
式には、胆沢平野土地改良区をはじめ東北農政局、東北地方整備局、県、同市、金ケ崎町などから関係者約60人が出席。神事では五穀豊穣、用排水の無事などを祈る祝詞が奏上され、同土改区の千田公喜理事長らが玉串をささげた。その後、胆沢ダムから取水した農業用水が勢いよく放水され、3本の噴水「命水の大噴水」も高さ20メートルほど上がった。
あいさつした同土改区の千田理事長は「焼石連峰の積雪量は例年通りで、農業用水は十分確保される見通し。組合員の皆さまが安心して農作業を進めていただけるよう公平な安定供給に努めたい。放水開始により五穀豊穣を願い、組合員が無事に出来秋を迎えることができるよう取り組んでいく」と語った。
円筒分水工は、胆沢平野を潤す農業用水を公平に配水する施設として66年前の国営事業で整備され、1995年度に改修された。
先人が築き上げた胆沢平野の二大幹線水路「寿庵堰(じゅあんぜき)」「茂井羅堰(しげいらぜき)」を通じて田畑に水を供給する。最大流量は毎秒16トンで、通水は9月中旬まで。
命水の大噴水は11月3日まで予定しており、時間は午前10時~午後4時で、毎正時に15分間噴き上がる。