ペダルこがない“新車” 体、ハンドル揺らし走行 おもしろ自転車製作 小原さん【北上】
ものづくりや発明品開発に取り組む北上市北鬼柳の小原隆規さん(66)は、このほど28台目の「おもしろ自転車」を完成させた。「会心の出来とは言えないが、ぜひ作ってみたかった1台」と話し、喜々として“新車”を乗りこなしている。
完成した自転車は、足を置くステップはあるものの、こぐためのペダルがない。車体が揺れるタイミングで体を上下させたりハンドルを前後に揺すったりすることで走行できるもので、「ブランコに乗るときのように、揺れのタイミングを合わせないと失速してしまう。ちょっと難しいけど、そこが面白い」と話す。
後輪のギアとサドル下のクランク部分にあるギアがチェーンでつながっており、後輪が1・4回転するうちに車体が上下に1回揺れるようになっている。ブレーキも駆動装置に邪魔にならないような位置に付け替えた。
作り方も独特だ。ほとんどが廃自転車のフレームを使用し、小さな部品は金属板を加工したり、ホームセンターで買い求めたもの。溶接はしないでボルト・ナットでつなぎ合わせる。電動工具は金属に穴を開けるボール盤とディスクグラインダーのみ。切断、穴開け、加工、研磨のほとんどが手作業だ。
「ものづくりは試行錯誤の連続。溶接はやり直しが難しいが、ボルトでの固定は修正が容易」の言葉を裏付けるように完成した自転車にも所々穴が開いている。「思い通りにいかず、部品が無駄になることもしょっちゅう。その失敗がまた楽しいんです」と屈託なく笑う。
小原さんの「おもしろ自転車」歴は40年以上。1980年の水陸両用自転車に始まり、木製レトロ自転車、タイヤが楕円(だえん)のラグビーボール自転車、五輪マークの自転車など、数々のユニーク自転車を誕生させてきた。
「作る過程はもちろん、見たり遊んでくれる人の笑顔を見ることも生きがいになっている。目下の目標は大型の四足歩行ロボットを作ること」と、少年のような笑みを浮かべた。
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