北上・西和賀

さくら野、北上店を分社化 都心開発が新会社買収 ブランド、雇用は維持

さくら野百貨店から分社化され、北上都心開発の子会社となる北上店=北上市本通り

 さくら野百貨店(本社青森市、石川康宏社長)は8日、北上市本通りの北上店を8月に分社化すると発表した。新たに設立する北上リテールマネジメント(同市)の全株式は、北上中心部のツインモールプラザを運営し市などが出資する北上都心開発(同市、八重樫守民社長)が買収し、子会社化する。「さくら野」のブランド名や従業員の雇用を維持し、実質的に地域会社化して営業を継続。10月以降、店舗のリニューアルに着手する。

 さくら野百貨店は青森、弘前、八戸の青森県内3店と北上店を運営。北上店はツインモールプラザがオープンした2000年に、同プラザ東館の核店舗として入居。中心市街地のシンボルとして市民や買い物客らに親しまれてきた。

 ただ、近年は新型コロナウイルスの影響長期化、電気料金の大幅値上げに加え、全国的な百貨店を取り巻く状況が厳しさを増している。北上都心開発との賃貸借契約期限を25年8月に控え、さくら野百貨店では青森県内の経営に集中し、北上店は地元経営に委ねる方向で北上都心開発と基本合意した。

 新会社とさくら野百貨店は商標等のライセンス契約を締結し、新会社に使用を許諾。設備関係などは実質的に新会社に譲渡される。北上店の従業員41人は新会社に移行し、さくら野恒例お中元・お歳暮、物産展等のイベントも両社が協力して維持し、運営のノウハウなども引き継がれる。

 北上都心開発は新会社買収を機に、市内でのオフィス需要の高まりを受け、事業所に貸しているオフィスゾーンを拡大。北上店の47店舗などが入る商業ゾーンは不採算店舗を入れ替え、アウトドアなどの新規店舗を入居させるなど黒字体質に変え、地元密着の色合いを濃くしていく。

 10月以降にテナントの移動や入れ替えに着手し、24年4月以降にオフィスゾーン拡張に入る。地元資本の店舗は基本的に残り、東館に入居するいわて生協ベルフ北上、イオンシネマ北上、西館のコナミスポーツクラブ北上は変わらない。

 八重樫社長(74)は「モノ消費からコト消費の流れは無視できない。今回は一つの好機ととらえ、商業ゾーンは時代に合うように内容を見直していく。地元の店舗を大事にしつつ、より筋肉質な形で運営していきたい」と強調。さくら野百貨店の岡村篤取締役兼業務本部長(52)は「分社化は従業員の雇用を守り、地域のお客さまとの関係を維持していくため。これまでのご愛顧に感謝している。ライセンス契約の中で、お歳暮やお中元などを続けていければ」と語っている。

 八重樫浩文市長は「内容を精査・確認するとともに、重要な商業の中核施設としての機能が保たれ、社員の雇用も維持されるよう今後の推移を注視していく」との談話を出した。

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