北上・西和賀

ウクライナに心寄せ 支援の思い込め合唱 出身女性出演 さくらホール 母の日コンサート【北上】

母国への思いを込め、ウクライナ民謡を歌うナターリアさん

 「母の日コンサートPart19」(実行委主催)は13日、北上市文化交流センターさくらホールで開かれた。ウクライナ出身のトムシンスカ・ナターリアさん(40)が戦禍にある母国の現状を赤裸々に伝え、参加者は歌を通じウクライナ支援の心を一つにした。

 同コンサートは2005年の福岡県西方沖地震を機に、被災者支援として毎年「母の日」の時期に合わせ開催。11年からは東日本大震災チャリティー、ロシアが軍事侵攻した22年と今回はウクライナ支援として開催。約100人が来場し、初めに声楽家で二期会会員の伊藤泰子実行委員長(同市本通り)がソプラノの独唱を響かせた。

 ナターリアさんは爆撃でがれきの山となった現地、祖国のため戦闘に臨む一般人、戦地から帰還した兵士と抱き合う家族、親を失った子どもや犬など厳しい現実を映像で紹介。「一般人がレスキューが来る前にがれきの中の人を救出し、止血している。救急車も狙われるため、一般車で搬送している」と実情を語った。

 さらに「戦争で仲間や同級生20人以上が亡くなった。ロシアは幸せ、命、土地、歴史、文化全て盗んだ」と涙ながらに語りつつ、これまで北上などから多くの義援金が寄せられ「皆さんの支援のおかげで多くの命が助かった」と感謝。祖国への思いを込め、ウクライナ民謡「赤いカリーナは草原に」を歌った。

 参加者も心を寄せ、共に合唱。会場にはウクライナ支援の募金箱が設けられ、多くの来場者が応じた。

 毎回出演している「さくら」の女声合唱団&男子合唱部、久々に再結成した「北上ダンディーシンガーズ」などの小学生から80代までの25人ほどが登壇。ミュージカルメドレーを繰り広げ、最後は出演者全員で「いのちの歌」「瑠璃色の地球」で一体感のある歌声を披露し、スタンディングオベーションに包まれた。

 伊藤実行委員長は「ナターリアさんの話を聞き愕然(がくぜん)とした。早くきれいな国に戻れるよう、少しでも役立てられれば」と強調。コンサートについては「みんな頑張って歌ってくれた。来年は20回の節目なので、ぜひ大きくやりたい」との構想を語った。

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