一関・平泉

吉良上野介の霊弔い 浅野内匠頭に隣接 供養塔建立し法要 赤穂事件ゆかり田村家菩提寺・祥雲寺【一関】

祥雲寺本堂で落慶法要が営まれた吉良上野介義央公供養塔(写真右)。浅野内匠頭長矩公供養塔に隣接して建立された

 「忠臣蔵」としても知られる赤穂事件とゆかりが深い一関藩主田村家の菩提(ぼだい)寺・祥雲寺(千坂芳覚住職)=一関市字台町=に吉良上野介義央公供養塔が建立された。13日には関係者らが参列して落慶法要が営まれた。

 浅野家が当主となっていた赤穂藩の家臣が主君浅野内匠頭長矩のあだ討ちで吉良家屋敷に押し入り、義央を討ち取った赤穂事件では、江戸城内で刃傷事件を起こした長矩が一関藩主田村家の江戸屋敷に預かりの身となり、そのまま屋敷内で切腹した経緯がある。

 供養塔は、愛知県西尾市吉良町にある吉良家の菩提寺・華蔵寺で12月に営まれている吉良上野介義央公毎歳忌に毎年住職が参列するなど交流を続けてきた祥雲寺が、赤穂事件の当事者である両者を末永く供養しようと本堂前に建立。台座を含めた高さと横幅はそれぞれ約2メートルあり、1988年に建立された長矩公の供養塔とほぼ同じ大きさで並べて建てられた。

 本堂での落慶法要には吉良町から訪れた吉良公史跡保存会の颯田洪会長や吉良・米沢親善交流会の杉山清一会長をはじめ、田村家18代当主任顕さんの名代・小山修子さんや祥雲寺総代関係者ら20人が参列。引き続き供養塔前で僧侶の読経の中、焼香が行われた。

 忠臣蔵では悪役として描かれている義央は、地元吉良町では名君として伝えられており、法要を終えた颯田会長(85)は「義央公は赤穂事件最大の被害者。吉良町から遠い一関の地にこうして供養塔が建立されたのは本当にありがたい」と感謝。供養塔の文字を揮毫(きごう)した祥雲寺総代会の阿部芳夫総代長(73)は「吉良、浅野の両家とゆかりがある田村家の菩提寺として、今後も両者の霊を弔っていく」と語った。

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