往時の平泉いざなう 国内世界遺産など題材に 花巻・大迫出身村田林藏さん日本画展
花巻市大迫町出身の日本画家村田林藏さん(68)=神奈川県鎌倉市=の日本画展「日本の世界遺産を描く」は、平泉町の平泉文化遺産センターで開かれている。国連教育科学文化機関(ユネスコ)に登録された国内各地の世界遺産や、岩手ならではの情緒あふれる風景を題材とした作品の数々に、来場者が足を止めて見入っている。22日まで。
「平泉の文化遺産」の世界遺産登録12周年で町と町教委が主催。村田さんは東京芸術大日本画科卒。1990年の日本美術院公募展「院展」に春、秋それぞれ初入選し、以降出品を続けて現在同院特待。2012年には中尊寺に「金色堂散華心象図」、18年には毛越寺寺に「浄光(毛越寺)」をそれぞれ奉納している。
県内では3度目の個展となる今回は、朝日に浮かび上がる薬師寺(奈良県)を描いた新作「晨明薬師寺」をはじめ、厳島神社(広島県)や白川郷(岐阜県)など全国各地にある世界遺産を描いた作品を中心に60点を展示。このうち「いわて心の風景・三十六景」と銘打った水彩画は、一関市の厳美渓や猊鼻渓(げいびけい)、室根山のツツジなどが鮮やかな色調で表現されている。
中でも目を引くのは、世界遺産登録10周年記念として21年に描いた「平泉回想鳥瞰(ちょうかん)図」びょうぶで、奥州藤原氏全盛期の平泉を空から眺めた様子を想像し、高さ1・8メートル、幅3・2メートルの大作にまとめ上げている。村田さんは「これまで描き続けてきた平泉に関する作品を、地元で見てもらえることは、うれしさと同時に緊張もある。日本画を通した平泉や世界遺産の風景を楽しんでほしい」と語る。
開催時間は午前9時~午後4時(最終日は3時)。入場無料。