一関・平泉

写真盛り込み由来紹介 地蔵田の看板新調 千厩・奥玉【一関】

新調された地蔵田の由来を紹介する看板

 郷土の伝説が残る一関市千厩町奥玉字坂下地内の円形圃場(ほじょう)「地蔵田」で、由来を紹介する現地の看板が新調された。県の補助を受け、同町の地蔵田伝承会(伊藤薫代表)が設置。18日の田植えに合わせてお披露目され、関係者は地元の名所を継承していく思いを新たにした。

 地蔵田は約1アールで、近くにある地蔵院の奉納田。言い伝えによると、西国の信仰あつい兄弟が不作に見舞われた際、夢枕に立ったお地蔵様のお告げで東に旅に出て、豊かな土地の奥玉を見つけた。移り住んだ2人は地蔵田を開き、作ったコメを奉納したという。田んぼが丸いのは、奉納米の稲をまたいで植える失礼がないよう、中央から一筆書きの要領で植えるためとされる。田は圃場整備により一時姿を消したが、同伝承会が2004年に復活させ、米作りに取り組んでいる。

 看板は以前は文字情報のみで、老朽化していたことから新調した。表示部分が縦約90センチ、横約180センチ。奥玉の農村風景の空撮写真を背景に地蔵田の言い伝えを紹介。県事業で制作した地蔵田の伝説が題材の紙芝居の絵や、農作業の様子の写真も盛り込んでいる。県の中山間ふるさと・水と土保全対策事業の全額補助を受け、40万円で22年度中に整備した。

 新調後初の田植えには、会員をはじめ住職や総代ら地蔵院の関係者、県職員、奥玉保育園の園児ら計約30人が参加。地蔵田を所有している伊藤代表(85)は県職員を前に「立派な物を作っていただきありがたい」と謝辞を述べた。参加者は地蔵米(ひとめぼれ)を手植えしたほか、園児向けに地蔵田の紙芝居が上演された。収穫したコメは地蔵院へ奉納し、信徒に配る予定。

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