メイプル取得可決 奥州市議会臨時会 賛成17、反対10
奥州市が利活用を計画する商業施設メイプル(同市水沢横町)の取得関連費を盛り込んだ議案は22日、市議会臨時会で賛成多数で可決された。市は取得後について人材育成や若者が学べる場、市民の交流拠点などへの利活用を模索しており、市民との話し合いでより良い施設を目指す。
メイプルは地上4階、地下1階で延べ床面積約1万9000平方メートル。運営会社の破産開始決定を受けて取得を決めた。取得費用は土地と建物、施設管理委託料など3億2938万4000円。
同日は取得費用などを盛り込んだ2023年度一般会計補正予算案を上程。議案審議に続いて討論が行われ、3人ずつが賛成、反対の立場で述べた。
このうち、佐々木友美子氏(奥州みらい)は「多額の税金を投入して取得しても、その後の活用方針には疑問が残る。利活用のための改修費に5億円以上かかるなど市の負担が大きい。建物解体や売却も視野に入れた方がいい」、小野優氏(新奥会)も「民間の商業施設取得に行政が関わることに疑問を感じる。市民に十分説明し、さらに議論を尽くした上で議会として通すべきではないか」などと取得への反対を表明した。
一方、瀬川貞清氏(共産党)は「旧水沢市時代に行政と民間が区画整理事業によって建てた施設なので行政が最後まで責任を持つべきだ」、阿部加代子氏(公明党)も「メイプルを市が取得しなければ廃墟となることが想定され、まちの活性化は市が責任を持って行うものだ」などと賛成討論を行った。
議長を除く27人による起立採決の結果、賛成17、反対10だった。
議決を受け倉成淳市長は「率直にうれしい。メイプルの将来の投資に移るというきっかけになる。若い人たちや次代の人たちにとってどういう場所にするべきかを考えていきたい」と述べた。
市当局によると、市がメイプル取得を公表後、物販関連やオフィス入居を希望する企業などから問い合わせが寄せられているといい、利活用には市民と話し合いの場を持ちながら活用ビジョンなどを策定する考えだ。
奥州市議会臨時会は22日開かれ、メイプル取得費用と政策調整事務経費の3億2995万7000円を追加する2023年度一般会計補正予算など7件を原案通り可決し、閉会した。
補正予算の政策調整事務経費は、地域医療奥州市モデルの策定を進めるため、意見や助言をもらう子育てや周産期の専門的知見を持つ外部有識者(医師)への5~9月分の報償費など57万3000円。
このほか、市介護保険条例の一部改正、小型動力ポンプ積載車4台、ポンプ自動車1台、凍結防止剤散布車1台、小中学校用電子黒板等機器52台、江刺地域向けの市光ネット通信設備機器一式の取得を可決した。