戦禍の記憶 次代へ 都鳥さん兄弟新作映画 釜石艦砲射撃 体験談、証言 悲惨さ伝える 「廃墟と化した鉄の町」【北上】
北上市在住の双子の兄弟で映画プロデューサー都鳥拓也さん(40)、伸也さん(40)の最新作「廃墟と化した鉄の町 釜石艦砲射撃の記録」が完成した。2度の艦砲射撃に襲われた釜石を舞台としたドキュメンタリー映画で、経験者や戦争研究者の証言を通して戦禍の記憶を次代へとつなぐ。8月20日に同市さくら通りの市文化交流センターさくらホールで上映される。
釜石市は終戦間際の1945(昭和20)年7月と8月、連合国軍による艦砲射撃に見舞われ、軍需工場でもあった釜石製鉄所だけでなく市街地ほぼ全域が焦土と化した。
映画では体験者10人のほか、戦争やその爪痕を研究する人たちを取材。最初の艦砲射撃で戦果を挙げたにもかかわらず、「なぜ再度の攻撃が行われたのか」「なぜ必要のない攻撃で人々の命が失われたのか」といった疑問に向き合った。記憶の風化や体験者の高齢化、東日本大震災などの課題に直面する中、過ちを繰り返さないため未来へと継承する形を問い掛ける。
今作も拓也さんが撮影や編集、ナレーター、伸也さんが監督を務めた。上映時間1時間25分。今月12日にさくらホールで開かれた製作関係者・マスコミ向け試写会で、伸也さんは「映画は体験した方々の遺言であり、大事なメッセージがいっぱいあった。戦争を過去で終わらせたくないという気持ちがある。映画とは形になって終わりではなく、いろいろな方々に見ていただいて初めて完成する。多くの人に広めたい」と語った。
北上での上映会は、8月20日午前10時30分からと午後2時から。料金は一般が前売り1000円、当日1200円、小中学生は前売り・当日共通で500円。同5日は釜石市民ホールTETTO、9月23日には花巻市文化会館でも上映が予定されている。
問い合わせはロングラン・映像メディア事業部=0197(67)0714=へ。
電子新聞momottoで紙面未掲載写真を公開中