渓谷にかれんな花 今季の生育を確認 東山・長坂みらい塾 希少植物・ゲイビゼキショウ【一関】
一関市東山町長坂地区の地域協働体「たいしたもんだ長坂みらい塾」(鈴木正敏代表)は29日、同町長坂にある日本百景の名勝・猊鼻(げいび)渓を調査し、希少植物「ゲイビゼキショウ」の今季の生育を確認した。岩肌に育つ「世界に一つだけの花」は盗掘などの被害に遭うこともなく、ひっそりとかれんな花を咲かせていた。
ゲイビゼキショウはユリ科の植物で、1957年に猊鼻渓の岩盤の上で生育が確認され、61年にチシマゼキショウの変種として位置付けられた。他の地域では見ることができず、環境省のレッドリスト絶滅危惧1A類に分類されている。
同塾は地域の宝であるゲイビゼキショウの生育環境を守り、後世に伝え、発信するため有効な手段や方法の検討につなげようと2017年から花が咲く頃に観察会を開いており、今年は事務局3人が生育や開花状態などを確認した。
ゲイビゼキショウは急峻(きゅうしゅん)な岩肌に張り付くように茎を伸ばし、初夏の渓谷で白くかれんな花を咲かせていた。中には群生している所もあり、参加者は舟で近づき目視で生育を確認し、周辺の環境を眺めたり、写真に収めたりした。
鈴木勝市事務局長は「盗掘などは一切なく、群落も確認できた。世界に一つしかないゲイビゼキショウは地域の宝でもある。手を加えることはできないが、今後もできることを続け、長く後世に伝えられるようにしたい」と語っていた。