環境債50億円 来月発行 海洋分野は全国自治体初 岩手県
県は2日、機関投資家を対象に、7月に環境問題の解決に向けた「グリーン・ブルーボンド」(環境債)を発行すると発表した。海洋課題解決に必要な資金を調達する「ブルーボンド」も含まれており、ブルーボンドの発行は全国の自治体で初となる見通し。発行額は50億円で、年限は5年(満期一括償還)。調達した資金は気候変動の適応に向けた事業や海洋資源、生態系の保全のための事業に活用される。
達増拓也知事が同日の定例会見で明らかにした。
県は1月、新たな歳入確保策として、脱炭素化などに貢献する環境債を発行する方針を発表。本県の環境への取り組みや、債券で調達した資金の使途などを定めた「フレームワーク」を作成し、同日付で発行に必要となる第三者評価を取得した。県ホームページ(HP)で公表しているフレームワークによると、資金は信号機の発光ダイオード(LED)化、国定公園・自然公園などの施設整備、河川改修などのほか、海洋分野では藻場や水産高校実習船、防波堤や護岸などの整備事業のために活用される予定。
需要倍率などの条件決定後、来月中に市町村を含めた機関投資家向けに1口1000万円で発行する。取扱証券会社はみずほ証券、野村證券、大和証券の3社。環境債を購入し、投資表明をした投資家は県HPで紹介する。
県は環境債の発行に当たり、今月9日に盛岡市のトーサイクラシックホール岩手(県民会館)で市町村や県出資等法人を対象にした説明会を開催する。達増知事は「自然環境の保全や持続的な活用に財源をしっかり確保したい。投資家にとっても環境政策に協力することになるので、社会貢献をしながら経済活動を進めてもらえれば」と期待感を示した。