豊かな森林 次世代へ 本県49年ぶり 陸前高田で全国植樹祭 両陛下出席「復興への努力に敬意」
本県で49年ぶり2度目となる第73回全国植樹祭は4日、天皇、皇后両陛下ご臨席の下、陸前高田市で開かれた。新型コロナウイルスの影響で両陛下が現地で出席されるのは4年ぶり。記念式典には林業関係者や来賓、一般参加者ら約4100人が出席し、両陛下が本県ゆかりの樹種の苗木を植えられたほか、大会宣言などが行われ、東日本大震災津波からの復興の姿を国内外に発信するとともに、林業の持続的発展や次世代への森林環境継承を誓った。【2、9面に関連】
今回の植樹祭は「緑をつなごう 輝くイーハトーブの森から」を大会テーマに、高田松原津波復興祈念公園で記念式典が行われた。
主催者あいさつで、国土緑化推進機構会長の細田博之衆院議長は「森林と人間のより豊かな将来を築いていく契機となるよう願う」、達増拓也知事は「県民、全国民が豊かな森林を守り、育み、次の世代を担う子どもたちへと確実につないでいくことを誓う」とそれぞれ語った。
陛下は「震災発生から今日に至るまで数多くの被災者が共に助け合い、国内外から多くの支援を受けながら復興への歩みが進められてきました。震災を乗り越えてこの度全国植樹祭が開催されることは誠に意義深く、復興に向けた地域の人々のこれまでのたゆみない努力と大会関係者の尽力に深く敬意を表します」と述べられた。
緑化功労者らの表彰、県緑の少年団から国務大臣への苗木の贈呈の後、陛下が県の木「ナンブアカマツ」とカシワ、タブノキ、皇后さまが宮沢賢治の童話「やまなし」で親しまれる「ミチノクナシ(イワテヤマナシ)」とベニヤマボウシ、ハナヒョウタンボクの苗木をお手植えされた。また、陛下がオオヤマザクラとケヤキ、皇后さまがヤブツバキとハマナスの種をまかれた。それぞれの種子から育った苗木は、県内の公共施設などに「記念樹」として配られる。
その後、「『伐(き)って、使って、植えて、育てる』という森林資源の循環利用や持続可能な森林管理」など三つを重点とした大会宣言が行われ、達増知事から次期開催県の伊原木隆太岡山県知事へ木製地球儀が引き渡された。
このほかアトラクションでは、障害がある作家のアート作品を発信するヘラルボニー(本社盛岡市)がプロデュースした色鮮やかな衣装を身にまとい、小中学生が音楽に乗せて創作ダンスを披露するなどし大会を盛り上げた。
同日は県内外の招待者約1600人が、県内の小中学校や緑の少年団が育成に関わった物を含むナンブアカマツやミチノクナシなどの苗木を、同祈念公園に32種、約3000本、高田松原運動公園に17種、約300本それぞれ記念植樹した。
両陛下は同日夕方すぎ、花巻空港から特別機で帰京された。