秋の実り願い込め お田植え交流会 骨寺村荘園遺跡【一関】
一関市厳美町本寺地区の骨寺村荘園遺跡内にある小区画水田で4日、第19回お田植え体験交流会が開かれた。近年は新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から参加者を制限していたが、今年は4年ぶりに従来通りの形で実施。骨寺村荘園米オーナーや地元の小中学生、大学生、一般、地元住民ら約120人が豊作を願いながら昔ながらの手植え作業に汗を流した。
開会行事では、主催の本寺地区地域づくり推進協議会を代表して五十嵐正一会長が「この交流会は学生の農業学習、地域内外の交流、小区画水田の保全という意義がある。農業は食を守り、命をつなぐ職業。秋の実りを夢に描きながら楽しく田植えをしてほしい」とあいさつ。平泉町の中尊寺から僧侶を迎えて祈祷(きとう)が行われ、全員で作業の安全や豊作、疫病の退散を祈願した。
爽やかな青空の下、参加者は遠西遺跡周辺と不動窟前の2カ所に分かれ、曲がりくねったあぜ道が特徴の田んぼ23枚、計26アールに「金色の風」と「ひとめぼれ」の苗を手で植え付けた。早乙女姿で参加した梅津晴奈さん(19)=岩手大2年=は「田植えは初めて。最初は不思議な感触で足を取られて転びそうだったが、だんだん抵抗がなくなった。昔ながらの農作業が衰退しつつある中で、伝統を体験させてもらえてありがたい」と熱心に取り組んでいた。
同遺跡は中世の農村景観が残るとして国の史跡に、同地区は重要文化的景観に選定されており、地元住民を中心に小区画水田での田植えや稲刈り、水路の清掃などが毎年行われている。秋には稲刈り体験交流会が開かれ、収穫したコメの一部は同寺に奉納される予定。