除草の負担軽減期待 有機米水田で実演 農業振興対策本部 アイガモロボ【花巻】
先端技術を活用したスマート農業の推進に力を入れる花巻市農業振興対策本部は、水田雑草の発生・生育を抑制するロボット「アイガモロボ」の実演会を市内のほ場で開いた。自律走行により水田除草の手間を省き、有機米栽培の負担軽減が期待できるロボットで、生産者や関係者ら約40人が作業を見学した。
ロボットは全長1・3メートル、幅90センチ、高さ40センチほどの大きさで、特殊なスクリューが水田の土を巻き上げて水を濁らせることで雑草が光合成しにくい環境をつくるとともに、巻き上げた土で雑草の種を覆うことで、雑草の発生を抑制する仕組み。太陽光発電の電力で、全地球測位システム(GPS)で設定した経路を自律走行する。
東京都のベンチャー有機米デザインが開発・製造、農機メーカー大手の井関農機が今年販売した。田植え後の水田に浮かべて約3週間稼動させるだけで、除草剤を使わなくても抑草が期待できるという。
実演会は有機栽培に取り組み、5月からアイガモロボを導入した同市中北万丁目の農事組合法人みずほの水田70ヘクタールで、今月7日に行われた。
農薬を使用しない有機栽培では除草が大きな課題。これまではチェーン除草機や中耕除草機を使った作業を週3日、1カ月半にわたって行っていたが、菅原修代表理事(63)は「1人でできる作業はせいぜい5ヘクタール。ロボットを導入することで人手をかけず、有機栽培の規模を広げることができた」と語る。
ロボットの導入コストについても補助金の活用や除草剤不使用による生産費の抑制により十分に採算が取れること、化学的に合成された肥料や農薬を使わないことで環境負荷を減らした農業の実践が可能になるとも語った。
実演会には市内外の生産者や農業関係機関・団体から約40人が参加。市内の生産者は「ロボットを稼動させるには一定の水位を保つ必要があるようだが、雑草が多いのは水持ちが悪い水田。省力化の観点から費用対効果が見合うのであれば検討したい」などと関心を寄せていた。