一関・平泉

風化防止が課題 岩手・宮城内陸地震から15年 意識高揚へ訓練【一関】

2008年6月14日の発生から15年を迎えた岩手・宮城内陸地震。震源地に近い一関市厳美町では、災害遺構として旧祭畤大橋が今も残る

 奥州市衣川で最大震度6強を観測した岩手・宮城内陸地震は14日、2008年6月14日の発生から15年を迎えた。震源地に近く、大規模な被害に見舞われた一関市厳美町では、関連する復旧工事の完了から時間が経過し、記憶の風化が進んでおり、教訓を後世に伝える取り組みが課題となっている。市内では、自らの身を守る行動を取ってもらうシェイクアウト訓練を全域で実施するほか、県建設業協会一関支部も情報伝達訓練を行い、改めて防災意識の高揚を図る。【15面に関連】

 岩手・宮城内陸地震は、奥州市衣川と宮城県栗原市で震度6強、一関市で震度5強をそれぞれ観測。県内では一関、奥州両市で2人が死亡、37人が重軽傷を負ったほか、住宅600棟余りが損壊した。土木関係では一関市厳美町の国道342号旧祭畤大橋が崩壊し、磐井川周辺で大規模な山腹崩壊や崩落土砂による河道閉塞(へいそく)などが多発した。

 市内では、各種災害復旧工事をはじめ、防災対策の治山事業などはすべて終了し、住民生活は平穏を取り戻しており、一部が保存されている旧祭畤大橋や落石モニュメントなどが震災の風化防止に役割を果たしている。

 15年を迎える14日は、発生時刻の午前8時43分に合わせ、シェイクアウト訓練を実施。市内で震度6弱の揺れが発生した想定で、学校などで三つの安全行動(まず低く、頭を守り、動かない)を取る訓練が行われる。

 一方、県建設業協会一関支部では、関係機関との災害協定に基づき、災害情報支援システムを活用した情報伝達訓練を同支部事務所で実施し、迅速な対応を確認することにしている。

 地震から15年を迎え、風化防止や住民の災害意識などが課題となる中、佐藤善仁市長は「ソフト面での対策としてシェイクアウト訓練を学校や職場などでやっていただきたい」と話している。

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