一関・平泉

長年の支え「ありがとう」 月内閉店、惜しむ声 さとう屋楽器店 大町【一関】

佐藤社長と店内の「N.S.P」特設コーナー。全国からファンが訪れる聖地として知られていた

 多くの人たちに親しまれてきた一関市銅谷町の洋菓子店「お菓子の館 マロン」と同市大町の「さとう屋楽器店」が月内で営業を終了する。経営者の高齢が理由という。通い続けたファンからは、閉店を惜しむ声が上がっているほか、長年の営業に感謝の言葉も寄せられている。

 30日で閉店するさとう屋楽器店は、さとう屋代表取締役社長を務める佐藤厚也さん(85)の先祖が明治時代より前に現在地で始めた生活用品販売が前身。父の吉蔵さんが太平洋戦争後に音楽用品をメインで扱う現在の形態に切り替え、佐藤さん自身も約60年にわたって経営に関わってきた。

 店では演歌を中心にJポップやアニメソング、テレビ・映画のサウンドトラックなど、幅広いジャンルのCD、カセットテープなどを販売している。

 一関市ゆかりのフォークグループ「N.S.P」の音楽活動も支援し、店内に特設コーナーを設置。全国各地のファンが足を運ぶ聖地にもなっている。佐藤さんは「デビューしてからも顔を見せに来てくれたのが思い出」と懐かしむ。

 最盛期の昭和40~60年にはレコードやギターを買い求める若者でにぎわいを見せていた店内。近年は携帯電話で曲をダウンロード購入するのが当たり前となり、来店客の減少が顕著となった。こうした状況や自身の年齢も考え、閉店を決断した。これまで店で開催してきた「さとうミュージックアカデミィ」は今後も継続する。

 閉店を知ったN.S.Pのファンからは「長い間お疲れさまでした」とねぎらいのメッセージが寄せられ、佐藤さんは「お客さまの要望に応えられるよう努めてきた。本当の仕事場だった。店を愛してくれる人がいる中、申し訳ない。本当に今までありがとうございましたという気持ちだ」と話している。

 店は休業日の月曜を除き、毎日午前10時から午後6時まで営業する。

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