花巻

県交通 土沢線廃止へ 花巻市、代替交通検討

 花巻市中心部から同市東和町を結ぶバス路線「土沢線」について、運行する県交通が9月末での廃止を花巻市に伝えていたことが分かった。地域住民の利用や観光目的での利用が多い幹線路線で、市は路線を維持するため赤字額を補填(ほてん)して2024年3月までの運行を確保するとともに、同4月以降の代替交通についても検討を急ぐ方針だ。

 土沢線は同市下小舟渡のイトーヨーカドー花巻店からJR花巻駅、総合花巻病院、新花巻駅などを経て、同市東和町中心部に向かうルートで、1日17便(土日曜・祝日は8便)を運行。宮沢賢治記念館周辺施設と花巻新渡戸記念館、萬鉄五郎記念美術館につながる唯一のバス路線となっている。

 同社は今年4月、収益の高い高速バスの利用者数の減少で経営状況が厳しいこと、運転士の処遇改善やそれに伴う経費の増加などを理由に、9月末での路線廃止を市に通知。市の運行継続の申し入れにより、10月から来年3月までの赤字額補填を条件に運行継続が可能だと伝えている。

 9月末で土沢線が廃止となった場合、市は地域住民や観光客など利用者に混乱を与えるとして、赤字補填した上で来年3月までの運行を確保する方針。赤字補填分の補助金を計上した一般会計補正予算を今定例会で追加提案する。

 来年4月以降の代替交通については、市内に本社を置くバス事業者に運行業務を委託する方向で協議を開始している。運行方法は定時運行を想定し、これまでの時間帯別や停留所別の利用実績などを分析した上で、バス事業者や東北運輸局岩手運輸支局との協議を踏まえ、遅くとも来年2月までに設定したい考えだ。

 土沢線の路線維持については、22日に開かれた議員説明会で説明。佐々木賢二都市政策都市機能整備担当部長は「一定の利用がある状況での突然の廃線は地域住民や観光客に多大な迷惑をかけることになる。路線維持のため赤字補填の補助金を補正予算に計上し、来年3月まで運行を継続する間に4月以降の代替交通を検討する」と話している。

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