北上・西和賀

心に響く方言詩 全国から愛好者集い朗読【北上】

ひょうたん笛の伴奏で「星めぐりの歌」を歌う参加者

 「柔らかかけん、いっぺん食べてみなっせ」「寒ぐなったら まだ来(こ)」…。日常の話し言葉や方言などを使った詩「生活語詩」の「ろうどく全国大会」(実行委主催)は24日、北上市本石町にある俳人山口青邨の復元居宅「三艸書屋」で開かれた。全国各地から38人が集まり、方言詩などの朗読を通して日本語の美しさや奥深さを確かめ合い交流を深めた。

 生活語詩は京都府出身で詩人の有馬敲さん(1931~2022年)が提唱したもので、長く全国生活語詩の会の代表を務めた。同会では06年から隔年で詩集を発刊し、不定期に全国各地で朗読会を開いている。北上での朗読会は11年の「詩朗読きゃらばん」に続き2回目。3年前に開催する予定だったがコロナ禍の影響で延期していた。

 時折心地よい風が通る三艸書屋の和室には、東北や関東、関西、四国、九州など全国各地の詩人たちが集い、居宅周辺の雑草園の草花を眺めながら和やかに朗読会が開かれた。

 開会式で斎藤彰吾委員長(北上市本通り)は「青邨さんも『ようこそ。来ていただきありがとう』と喜んでいる思う。楽しく交流しましょう」とあいさつ。発声練習を兼ねてハーモニカやひょうたん笛の伴奏に合わせて宮沢賢治の「星めぐりの歌」を全員で歌った。

 朗読では参加者一人ひとりが自作を披露。「生まれて初めて人前で読む。足が震えている」と言いながらも味わい深く朗読する参加者や、テキストを見ず朗々と情感を込めて読み上げる参加者もいて盛んな拍手を浴びていた。

 「とうとう わても ダンボールおばはんになってしもた…」。阪神大震災の体験をつづった「四丁目のまさ」を披露した神戸市の玉川侑香さん(75)は、「地震の力で書かされた詩。今書けと言われても書けない。北上には初めて来た。空気がきれいだし、訪れたかった日本現代詩歌文学館もとても良かった」と喜んでいた。

 実行委員の兒玉智江さん(81)=北上市相去町=は「天気に恵まれ、会場の雰囲気も良くて味わい深い集いになった」と話した。

地域の記事をもっと読む

北上・西和賀
2025年5月15日付
北上・西和賀
2025年5月15日付
北上・西和賀
2025年5月15日付
北上・西和賀
2025年5月15日付