新鮮農産物を空輸 中京圏と交流拡大へ 稲瀬町自治協FDAで【北上】
北上市の稲瀬町自治協議会は、早朝に収穫したトウモロコシを花巻市のいわて花巻空港からフジドリームエアラインズ(FDA)で空輸し、愛知県豊山町の県営名古屋空港付近のスーパーで販売した。朝採りの新鮮なトウモロコシは、あっという間に完売。事業をコーディネートした市は今回を機に、キオクシア四日市工場や自動車関連などビジネス面でつながりの強い中京圏で農産物販売のみならず幅広い交流、関係人口創出につなげたい考えだ。
今回の取り組みは、FDAが全国各地の新鮮な食材を運ぶ「空飛ぶフードプロジェクト」を知った市が同協議会に打診した。同協議会は、市が各自治組織に配分する地域づくり総合給付金を活用。FDA側の計らいもあり、空港付近の店で販売となった。
稲瀬産のトウモロコシは寒暖差に加え西日が長く当たることで生まれる甘み、香ばしさが特徴。9日、午前4時に生産者が400本のトウモロコシを収穫し、午前8時50分花巻空港発の名古屋便で同協議会の5人が手荷物として運搬した。
名古屋空港に1時間半後に到着。空港付近のスーパーで午前11時ごろから1本240円で販売し、1時間余りで400本があっという間に売り切れた。
同協議会前会長で現在は産業委員長を務める高橋清久さん(70)は「これほど早く売れるとは思わなかった。北上、稲瀬をアピールできた」と顔をほころばせる。秋には本県ブランド米「銀河のしずく」も現地で販売する計画で「今後いかにつないでいくかが課題だ」とも語る。
今回は農産物販売、PRのみならず地域間交流の促進、関係人口拡大も大きな目的で、今後の交流発展にも期待を膨らませた。
FDAには貨物便がなく大量輸送は難しいが、市は今回をモデルケースに地域でブランド化を目指したり、知られざる特産品、地域でアピールしたりしたい品を同プロジェクトの対象としていきたい考え。市地域づくり課の髙橋正貴課長は「今回の成果を市内全地区で共有し、希望する地区があれば農産物に限らず中京圏とのネットワークを生かし展開したい。今回を機にこちらにも来てもらえるよう、相互交流につなげていければ」と話している。