花巻
自然の持つ力 オブジェに けやきラウンジ 阿部さん（北上）作品展【花巻】
北上市和賀町の美術家、阿部龍一さん（５８）の作品展は、花巻市東和町の東和図書館内ギャラリースペース「けやきラウンジ」で開かれている。流木やさびた鉄板など使って自然が持っている強いエネルギーを表現した半立体のオブジェなどが来場者の目をくぎ付けにしている。
阿部さんは花巻市出身で岩手大教育学部特設美術科卒。独立美術協会準会員、エコール・ド・エヌ会員として数々の美術展で入賞経験がある。現在は北上市立南中学校の美術教諭として生徒指導に当たりながら精力的な創作活動を続けている。
今展では、流木や鉄板、麻袋など自然由来の素材を使ったオブジェ「土の書」「大地」、石の粉からできている石塑（せきそ）粘土で作られた「能三面」「観音頭像」、凹凸のある粘土面に色を塗り、上から砥（と）の粉を垂らした抽象画「玉響（たまゆら）」など１５点が展示されている。
流木に自然が持つ力強いエネルギーを感じ、さびた鉄板に朽ちていくものの美しさを見いだし、４０代から半立体のオブジェ作りを始めた。「当初は人の顔を入れるなどして物語性を持たせていたが、素材から発せられる力強さをそのままに、自然な流れを意識して制作することで不作為の美しさが表現できるようになった」と語る。
制作に当たっては、構想を練ったりデッサンしたりすることはなく、「廃材を見て触ると、直感的に手が動く」と阿部さん。「作品を見ることで心が落ち着いたり、自然のエネルギーを感じたりしてもらえればうれしい」と話している。
作品展は３１日まで。月曜休み。展示は午前１０時３０分～午後６時。
問い合わせは同ラウンジ＝０１９８（４２）３２０５＝まで。
