一関・平泉

柳之御所遺跡のみ作成 平泉文化遺産拡張登録 文化庁への推薦書案

世界遺産「平泉の文化遺産」拡張登録に向けて文化庁への推薦書案作成を進めることが決まった柳之御所遺跡=平泉町平泉

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されている「平泉の文化遺産」拡張登録に係る県と一関、奥州、平泉3市町による関係者会議は30日、平泉町の平泉文化遺産センターで開かれ、文化庁に提出する推薦書案は柳之御所遺跡(同町)のみ作成することを決めた。また、世界遺産構成5資産と拡張登録を目指す5資産を新たに「ひらいずみ遺産」とし、一体的な保存管理や資産を活用した文化観光の取り組みを進めることも申し合わせた。【15面に関連】

 会議には県文化スポーツ部の小原勝部長、佐藤善仁一関市長、倉成淳奥州市長、青木幸保平泉町長の4人が出席。学識経験者から成る世界遺産拡張登録検討委員会が2022年8月に示した「柳之御所遺跡については推薦書作成が可能である」との意見を踏まえて協議を行い、理解や納得できないとの意見があったものの、全員が同意して同遺跡の推薦書案作成を今年度から進めることが決まった。

 同様に拡張登録を目指してきた骨寺村荘園遺跡(一関市)、白鳥舘遺跡と長者ケ原廃寺跡(以上奥州市)達谷窟(たっこくのいわや)(平泉町)は、今後も資産の価値向上および将来的な拡張登録を目的とした調査研究などの取り組みや支援を継続していく。

 新たに示された「ひらいずみ遺産」は、世界遺産の構成資産(中尊寺、毛越寺、無量光院跡、観自在王院跡、金鶏山)と拡張登録を目指す資産の計10資産で構成。一体的な保存管理と調査研究、活用および発信に取り組むことで相互に価値を高めることなどを狙いとしており、詳細は県と3市町の協議で決められる。

 奥州藤原氏の政治、行政上の拠点とされる柳之御所遺跡については、11年の世界遺産登録を前に国際記念物遺跡会議(イコモス)から浄土との関連性が薄いとの指摘を受け構成資産から除外された経緯があるが、その後の発掘調査で中尊寺方面へ続く道路跡や、無量光院跡との間にある猫間が淵(ふち)に橋状遺構が確認されるなど、構成資産との関連を示す成果が上がっている。

 会議を終えて小原部長は「各市町で資産の価値が高まったのは地域の皆さまのご努力のたまもの。これまでの取り組みの成果の一つとして推薦書案作成をしっかりと進める」と語った。

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