日高火防祭(奥州)新規指定 「屋台囃」から対象拡大 県文化財保護審答申
県文化財保護審議会は8日、既に県の無形民俗文化財に指定されている日高火防(ひぶせ)まつり(奥州市)の「屋台囃(ばやし)」について、指定対象を拡大し、名称を「日高火防祭」に変更して新規指定するよう県教委に答申した。答申したのは、日高火防祭を含め有形・無形民俗文化財合わせて新規5件、追加1件。指定されれば、県指定文化財は405件となる。
新規指定は有形文化財に県管轄地誌甲本(盛岡市)、同乙本(県)、盛岡藩覚書105冊(盛岡市)。無形民俗文化財に盛町五年祭(大船渡市)、日高火防祭。追加指定は有形文化財に盛岡藩雑書1冊(盛岡市)。
このうち日高火防祭は、日高神社の祭礼で、各町組が火消しの旗印である「町印」とはやしを奏でる「うちばやし」、近代加わった「はやし屋台」を巡行し、火伏せを祈る。屋台囃は指定済みだったが、祭礼自体が火防を目的としていることや、山車の形式などが旧藩境部の祭りの在り方の典型を継承していることから重要とされ、名称を変更して祭礼全体を新規指定するよう答申された。
県管轄地誌は、1876年から85年にかけて県が編さん。当時の県内全642の村を収録し、各地域の沿革・地勢・風俗・貢租・戸数・物産などの項目で構成される。盛岡市所有の甲本と県所有の乙本(ともに11巻131冊)があり、県の成り立ちを理解する上で重要な史料とされる。
盛町五年祭は、祭礼の神輿(みこし)に供奉し、稚児行列、山車、曲録、権現舞、囃子屋台、手踊りの群舞を特徴とし、旧仙台藩領域の気仙地方の祭りの特徴を継承している。
10月の教育委員会定例会で議決し、11月の県報告示で県指定となる見通し。