北上・西和賀

早池峰神楽や神話緻密に 谷内さん版画展示 利根山光人記念美術館【北上】

「版画は心象表現」と語る谷内さん

 利根山光人記念美術館の2023年度後期企画展「山、川と祈り 谷内博司展」は、北上市立花の同館で開かれている。早池峰神楽や神話などをテーマとした木版画を中心に、素朴でありながらも神々しく緻密な作品28点が紹介されている。11月30日まで。

 谷内さん(88)=同市成田=は現役時代、小中学校の教諭として図工・美術教育に携わった。生活指導の面でも尽力し、「荒れた学校」を立て直した一方、授業に農業体験を取り入れて働くことや生きることの素晴らしさを子どもたちに伝えてきた。

 退職後に本格的に版画を始め、特に早池峰神楽をモチーフとした作品を多く手掛ける。今回は、神楽や民俗芸能などを題材に、創造性豊かに制作された木版画24点のほか、水彩画4点も展示されている。

 今月2日に行われたオープニングセレモニーで、同館専任研究員の菊地仁美さんは「写実とはちょっと違った不思議な構図、地域古来の民俗や風習、自然の豊かさへの思いなどが多様な創意工夫によって表現されている。企画展を通して版画の魅力をもう一度見直してほしい」と語った。

 谷内さんは「『9歳の壁』や『ギャングエイジ』といった指導が難しい時期だったが、それぞれの能力を引き出す教え方をすれば、子どもたちはグンと伸びる。児童生徒の版画作品にはその秘密が隠されている」と、美術教育実践者としての視点であいさつした。

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