オオハクチョウ1羽のみに 今春誕生の幼鳥 北上・新堤
北上市相去町の白鳥飛来地・新堤で、今春誕生したオオハクチョウのひな5羽のうち、外敵に襲われたり事故に遭ったりして生き残ったのは1羽のみとなった。この幼鳥は傷を負いながらも飛行に挑戦しており、愛好者は無事の成長を祈っている。
5月4~6日の大型連休中、新堤に長年居着いているつがいから3年連続でひながふ化。5羽のうち1羽はすぐにカラスに襲われたとみられ、もう1羽も生後1カ月前後に行方不明となった。残る3羽はすくすく成長し飛ぶようになったが、愛好者によると8月17日ごろに幼鳥同士で飛行中、建物外壁に衝突し2羽が死んだ。
残った1羽もやぶに突っ込み右足、右羽を負傷したもよう。しばらく飛ばかったが、最近になり堤を1周する程度は飛ぶようになったという。
オオハクチョウの産卵、ふ化、育児は本来北方で行われ、越冬地の国内での自然繁殖は珍しい。新堤では21年に初めて4羽が生まれ、2羽が無事成長。22年は5羽が誕生数日後、カラスとみられる外敵に襲われるなどして全滅した。それだけに今年は県内外から愛好者らが訪れ、無事成長を願い見守ったという。長年、観察し続ける日本野鳥の会北上支部の征矢和宣さん(76)=同市滑田=は、幼鳥が1羽になり「残念だが自然なこと。(残った)幼鳥は今のところ大丈夫そうだ。事故なく無事に育ち、北方と行き来できるようになれば」と期待する。
10月中旬ごろから越冬のためオオハクチョウの飛来が見込まれるが、親子3羽も新堤で仲むつまじく冬を越すことになりそうだ。