一関・平泉

親子の悲願 酒蔵復活 41年ぶり自社醸造 日本酒2種きょう発売 世嬉の一酒造 一関

41年ぶりに酒蔵を復活させ、自社単独で醸造した酒を手にする佐藤航社長(右)と晄僖相談役

 酒造・販売の世嬉の一酒造(本社一関市田村町、佐藤航代表取締役社長)は、自社工場で醸造した純米酒とスパークリング清酒を、2日に発売する。41年ぶりの酒蔵復活で、航社長と父で先代社長の晄僖相談役との親子2代にわたる悲願を果たし、今後は海外への輸出も視野に入れて酒造に力を入れる。

 同社は1918(大正7)年の創業で本物志向の酒造りを展開していたが、82年に当時の社長が急逝して倒産寸前に追い込まれ、やむなく共同醸造の形で別の酒造会社のタンクを借りて酒造りを継続した。95年にいわて蔵ビールを設立し、順調に経営状態が回復。岩手・宮城内陸地震、東日本大震災での被災や新型コロナウイルス禍など数々の困難に見舞われたが、2022年にタンクの搬入や工事を行い、酒蔵復活に向けて大きく踏み出した。

 今年初めにクラウドファンディング用の酒を醸造し、その後に本格販売に向けて作業を開始。温度調整など試行錯誤を続けた結果、「香りが良くて酸を立たせて爽やかにした。食事に合う」(航社長)自信作が出来上がった。市内の酒販店に試飲してもらったところ、好評だったことから待望の販売を決断した。

 販売するのはいずれも720ミリリットルの純米酒(税込み1210円)とスパークリング清酒(同1760円)。ブランド名は、地元で主に飲んでもらいたいという思いから、創業時の屋号だった「横屋」を採用した。今後は「世嬉の一」ブランドの酒も生産する計画で、横屋は地元向けの比較的リーズナブルな酒とする一方、世嬉の一は高級志向の酒を目指し、年間を通じて醸造していく方針。

 ビール販売で得たノウハウを生かしながら将来的に輸出も視野に入れており、航社長は「やっとスタートした。一関の地酒として地元の他の酒蔵と一緒に頑張っていきたい」、晄僖相談役も「私の代でやりたかったが、次の代で成し遂げてくれて感無量。いいお酒を自分たちの手で造って海外でも日本酒の評価を高めるようになってほしい」と笑顔を見せる。

 横屋ブランドの2種は市内の酒のかんりょう、リカーショップコンノ、さとう屋で販売する。問い合わせは世嬉の一酒造=0191(21)1144=へ。

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