花巻市クマ目撃353件 過去5年で最多 市街地出没、人身被害も
花巻市内でクマの目撃が増えている。市が4月から今月22日までに把握した目撃情報は前年同期(10月末)に比べ171件増の353件で、過去5年で最多となっていることが、市農林部農村林務課のまとめで分かった。地域別では花巻地域が前年同期の3倍に当たる254件と大幅に増え、市街地での目撃も多い。10月に入ってからは人身被害が相次いでおり、同課は引き続き注意を呼び掛けている。
同課によると、過去5年の市内の目撃件数は、22年度が192件、21年度が196件、20年度が171件、19年度が176件、18年度が130件。
今年度は年度途中で既に前年度の倍近い目撃情報がある。地域別にみると、花巻が254件と最も多く前年同期比の3倍近くに上る。そのほかの地域は前年同期と同水準で、大迫は24件、石鳥谷は47件、東和は28件となっている。
人身被害は20年度に続く多さで3件が発生している。今月1日には大迫町外川目地内で田んぼの見回りに出掛けた男性が降車時に襲われ負傷。15日には同町外川目の宇瀬水牧野近くの山林でシカの駆除作業をしていた男性2人が、22日には石鳥谷町大瀬川で自宅敷地内の柿の木にクマよけのライトを設置しようとした男性が襲われ、これまでに4人が頭や顔、足、腕などにけがを負った。
クマの主要な餌の一つとされるブナの実について、林野庁東北森林管理局の調査では、今年度はほとんど実がついてない状況で、人里に餌を求めて近づくクマが多くなる恐れがあるとしている。実際に目撃が多い花巻地域では、クリの木に登るのが目撃されたり、干し柿を食い荒らしたり、米袋や飼料袋を破ったりする被害も確認されている。
市農村林務課は、被害に遭わないため、クマが行動する早朝や夕方の外出に気を付けることや、餌となる生ごみや廃棄された収穫残さ、不要な果樹の除去などの対策を呼び掛けるとともに、「クマが冬眠に入る11月ごろまで引き続き警戒してほしい」と注意を促す。