大谷2年ぶりMVP 史上初2度目満票
【ロサンゼルス時事】米大リーグのエンゼルスで今季プレーした大谷翔平選手(29)=奥州市出身、花巻東高出=が16日(日本時間17日)、2023年のア・リーグ最優秀選手(MVP)に選ばれた。21年以来2年ぶり2度目で、前回に続き満票での選出となった。満票で2度の選出は史上初。過去に日本選手でMVPに輝いたのは他に01年のイチロー選手(マリナーズ)のみで、複数回の受賞は日本勢で初めて。【9、13面に関連】
9月に右肘を手術した大谷選手は受賞決定後、「(MVPを)取れたのは特別なこと。(右肘は)スムーズに来ている。来シーズンに間に合わせてプレーしたい」と喜びを語った。
全米野球記者協会の記者30人が1位から10位までを連記する投票で、大谷選手は全員から1位票を得た。昨季はアーロン・ジャッジ外野手(ヤンキース)に及ばず2位だった。
大谷選手は3月のワールド・ベースボール・クラシックで日本の優勝に貢献すると、シーズン開幕後も投打の二刀流で活躍。打者として44本塁打を放って日本選手初の本塁打王を獲得し、自己最高の打率3割4厘と95打点をマークした。投手としても10勝5敗、防御率3・14の成績で、史上初となる2年連続の「2桁勝利、2桁本塁打」を達成した。
シーズン後には6年在籍したエンゼルスからフリーエージェントとなり、新たな所属先とメジャー史上最高額の大型契約を結ぶ可能性に注目が集まっている。
他寄せ付けず
大谷が他を寄せ付けない圧倒的な存在感で、2度目のMVPに輝いた。8月23日に右肘の靱帯(じんたい)損傷が判明。その後、自身2度目の右肘手術に踏み切って終盤の約1カ月間は欠場したのにもかかわらず、マイナス材料にはならなかった。
44本のアーチを架け、日本選手で初めて本塁打王のタイトルを獲得した。長打率と出塁率の合計で、強打者の指標とされるOPSは1・066でメジャートップ。投手として規定投球回には届かなかったものの、130イニング以上の投手の中でリーグ1位の被打率1割8分4厘とこちらも際立っていた。
大谷のMVP受賞は早くから確実視されており、大リーグ公式サイトは「シーガー、セミエンは素晴らしかった。ただ大谷が打席、マウンドで見せてきた特別な一年を上回ることはできない」。発表前の段階でそう伝え、焦点は史上初となる2度目の満票選出を果たすかどうかだった。日本球界ほどチーム成績が重視されない米大リーグのMVP選考で、大谷の比類のないパフォーマンスには、レンジャーズの躍進に貢献したシーガーらも到底及ばなかった印象だ。
フリーエージェントになった大谷は、今オフの移籍市場で最大の目玉。2度目のMVPでさらに価値を高めたメジャーの主役が、今度は史上最高の大型契約を結ぶかどうか、関心が高まる。(ロサンゼルス時事)