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政次郎に共感し執筆 「銀河鉄道の父」作者 門井さん講演【岩手】

「銀河鉄道の父」執筆にまつわるエピソードを語る門井さん

 宮沢賢治の父親・政次郎を主人公にした小説「銀河鉄道の父」で第158回直木賞を受賞した作家門井慶喜さんの講演会が3日、盛岡市内で開かれた。同作品で父親目線で家族愛を描いた理由、登場人物への思いを明かしたほか、文学の道を志す人たちへメッセージを送った。

 講演会は文芸活動の振興を図る恒例イベント「文学の国いわて2023」として、県が主催。約100人が聴講した。

 門井さんは1971年、群馬県生まれ。2003年に「キッドナッパーズ」で第42回オール読物推理小説新人賞を受賞し、作家デビュー。作家を目指した理由について「子どもの頃から小説が身近にあり、自然と将来はそうなるものだと思っていた」と語った。本格的に執筆活動を始めたのは社会人になってからといい、早朝に小説を書いてから出勤する「朝型生活」だったと明かした。

 「銀河鉄道の父」は、政次郎に対する共感がきっかけで執筆。「文学的な才能はあっても社会的な才能は乏しい、賢治のような息子を持つと苦労するだろう」という思いからスタートしたという。幼い賢治が赤痢で入院した際、政次郎が看病した史実を取り上げ、「家長が看病をするのは当時からしたらあり得ない。近代で最初の『親ばか』と言っていいのでは」と愛着を込めて語った。

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