奥州・金ケ崎

1000年の歴史に幕 担い手不足が深刻 来年2月最後の争奪戦 奥州・水沢 黒石寺蘇民祭

歴史に幕を閉じる黒石寺蘇民祭・争奪戦で蘇民袋に群がる男衆(資料)=2020年

 1000年以上の歴史を誇る奥州市水沢黒石町の黒石寺蘇民祭が、2024年2月を最後に幕を閉じる。祭りの担い手不足が深刻化しており継続が困難となっているためで、来年2月は従来の祭りを縮小した形で開催し、蘇民袋争奪戦などを行う。5日に発表した同寺の藤波大吾住職(41)は「担い手不足が深刻な状態。全国から人を集めて蘇民袋争奪戦などを行うのは来年で最後としたい」と語り、25年からは伝統を継承するため護摩祈祷(ごまきとう)を続けていく方針を示した。【9面に関連】

 黒石寺蘇民祭は毎年旧暦正月7日夜から8日朝にかけて行われ、薬師信仰を伝える祭り。国選択無形民俗文化財となっている「岩手の蘇民祭」の中でも全国的な知名度を持つ。下帯姿の男たちが集まり、川の水をかぶって身を清める裸参り(夏参り)や、井形に組んだ松の木に火を付け、木の上で火の粉を浴びながら山内節(やまうちぶし)を歌う柴燈木登(ひたきのぼり)、カツノキの護符が入った麻袋を男たちがもみ合いながら取り主を決める蘇民袋争奪戦などで構成する。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で21、22年は開催規模を大幅に縮小し、本堂での護摩祈祷を実施。23年は日中の開催ながら100人が参加して裸参りを行った。

 来年2月17日も縮小開催とし、午後6時から裸参り、別当登り、鬼子(おにご)登り、蘇民袋争奪戦の順序で行い、午後11時終了の予定で進める。柴燈木登は松の木の調達などが難しいため行わない。

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