花巻

五大尊蘇民祭継続断念 担い手不足 830年の歴史に幕【花巻】

 花巻市石鳥谷町五大堂の光勝寺に伝わる祭りで、厳冬期に行われる「五大尊蘇民祭」が、高齢化や担い手不足などから、2024年以降行わないことになった。市や市教委を含む関係者にも今後の開催を見送る通知を出した。830年以上の歴史があるとされる祭りが途絶えることとなった。

 市無形民俗文化財に指定されている五大尊蘇民祭は、1年間の息災を祈願する365枚の駒札を入れた麻袋を奪い合う伝統行事。1191年(建久2)年、国家安全、五穀豊穣(ほうじょう)、病魔退散、牛馬安全を祈願する護摩法要の際に、配られた護摩餅を参拝者が競って手に入れようとしたことが始まりとされる。

 毎年旧暦1月7日に行われてきたが、新型コロナウイルスの影響で2021年から中止。来年の開催を含む今後の開催について今月9日寺の役員と、地元住民で組織する協力団体「五大尊蘇民祭振興会」の役員らでの協議を経て、24年以降の継続を断念した。

 同寺の佐藤宥弘住職(85)によると、祭には100人を超える人が携わるが、高齢化に加え新たな担い手の確保も難しく、数年前から継続が課題に上っていたとし、「いろいろな面で不便するようになってきた。来年無理してやったとしても再来年どうなるのか見通しが立たない。伝統を途絶えさせてしまうのは残念なことだが、時の流れには勝てない」と無念さをにじませた。

 なお蘇民祭の前夜に行われていた星供護摩祈祷(きとう)(星祭)は継続して開催する。

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