一関・平泉

特別展示きょう開幕 保護、信仰の資料公開 平泉・中尊寺金色堂建立900年

明治期の修理の際に描かれた須弥壇の模写図について説明する加島名誉教授=平泉町・中尊寺讃衡蔵

 平泉町の中尊寺(奥山元照貫首)にある国宝・金色堂の建立900年を記念する特別展示「金色堂の信仰と継承」は、13日に同寺境内の宝物館「讃衡蔵(さんこうぞう)」で開幕する。幾多の先人が守り継いできた金色堂の保護と修理、信仰の歴史を振り返るもので、明治期の修理の際に描かれた精密な模写図や、室町時代に奉納された工芸品など35件を展示替えしながら3回に分けて公開していく。4月24日まで。

 特別展示は▽中世の金色堂▽金色堂の修理▽金色堂を訪れた人々―の3部で構成。このうち中世の金色堂で展示される「蒔絵(なきえ)絵馬」(県指定文化財)には1564(永禄7)年に木村右兵衛尉景重という武士が奉納した銘文があり、黒漆を塗った板に馬の絵を研ぎ出しの金梨地で表し、たてがみやひづめを針書き、くつわは朱塗りで描いている。

 「金色堂の修理」では、古社寺保存法により「特別保護建造物」に指定された1897(明治30)年に東京美術学校(現東京芸術大)が依頼を受けて行った修理時の模写図を展示。不慮の災害が起きた場合を想定した記録として後に日本画家として名をはせる木村武山らが描いたもので、当時の須弥壇(しゅみだん)や巻柱などが原寸大で精密に描写されている。

 「金色堂を訪れた人々」では、西行法師や松尾芭蕉、宮澤賢治ら数多くの文人墨客が訪れた様子を、同寺境内にある歌碑や句碑、自筆ノートの複写などで紹介した。

 今回の特別展示を監修した加島勝大正大名誉教授は「明治期の模写図はまだ写真技術が発達していなかった当時、昭和の修理で輝きを取り戻す前の螺鈿(らでん)の剥落状況などを正確に伝えてくれる貴重な資料。奉納された品では蒔絵の絵馬以外にも納札や五輪小塔など多くのものが伝わっており、中世の人たちの金色堂に対する信仰の厚さがうかがえる」と語る。

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