資料に見る地域の100年 東山図書館企画展 来年節目 猊鼻渓名勝指定、大船渡線開業
2025年の猊鼻(げいび)渓名勝指定とJR大船渡線開業100周年にちなんだ企画展「100年前の東山~猊鼻渓名勝指定・大船渡線開業 前夜~」は、一関市東山町長坂の東山図書館で開かれている。時代の大きな転換点となった100年前の東山の様子をさまざまな資料を通して伝えている。26日まで。
1924(大正13)年の東山の人口は7555人ほどで、農業が主な産業だったが、25年に猊鼻渓が国の史跡名勝天然記念物に指定され大船渡線一ノ関―摺沢間が開通。昭和30年代になるとセメント工場誘致が実現、1960年の人口は1万1108人まで増加し、最盛期は年間38万人の観光客が訪れるようになった。
同館入り口の一画に約30点の郷土資料を展示。一関地方の昔の情景を捉えた写真集のほか、「伝承・東山の年中行事」「磐井の方言集」「農芸電気講話」「農用昆虫教科書」「農家経済談」「東山たばこ記念史」などかつての人々の暮らしやなりわいを伝える資料が並ぶ。
猊鼻渓に関する資料は「名勝猊鼻渓内務大臣指定に至る経過」、84年に旧東山町教委が作製した「げいび追分」の楽譜、2008年度に旧長坂小学校6年生が文化祭で演じた劇を基にした紙芝居「誕生日本百景猊鼻渓」など。大船渡線関連は陸中松川駅開業50周年を記念し1975年に発行された「陸中松川駅史」、市博物館が発行した「開業90周年記念 大船渡線 ~ドラゴンレールの謎を解け!~」などがある。
館内のパネルには小説家田山花袋が初めて猊鼻渓を訪れた際の感動をつづった「猊鼻渓を見る」(田山花袋全集より)、猊鼻渓なども紹介されている16(大正5)年発行の「磐井の名所」の写しなどが掲示されている。
舛屋藍主任司書は「かつての東山や猊鼻渓、大船渡線の様子を資料を通して多くの人に知ってもらい、来年の猊鼻渓名勝指定と大船渡線の100周年に向けて気持ちを盛り上げていければ」と話し、来館を呼び掛ける。
展示資料の一部は貸し出し可能。開館時間は午前10時~午後7時(土日・祝日は6時)。休館日は毎週水曜日と毎月第4金曜日。