大船渡線と私 開業100周年プレ企画
もう50年以上も前の話になりますが、家業の旅館が嫌で、知人を頼り大船渡に行きました。その知人は前にうちでお手伝いをしてくれた人で、彼女の勤務先に行き仕事を紹介してもらったのですが、なんと彼女は私の名前をフルネームで使っていました。彼女は笑ってごまかしましたが、あまりいい気はしませんでした。
紹介してもらった仕事は夕方から深夜2時までの営業で、何もかもが初めてのこと。当時は大変な経験をしました。
初めてのお給料を頂き、うちに戻ってみたくなり、仕事を終えてそのまま寝ずに始発の大船渡線一ノ関行きに乗りました。同乗していたおばさんたちには、家出娘と思われたかもしれません。
車窓から見る東の空が少しずつ明るんできて、太陽が昇るとまぶしくなる、その時間が楽しくて何度も行き来しました。夕方には大船渡に戻り仕事をした若き日。今でも懐かしく感じます。
(一関市東地主町・菅原悦子さん)
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企画/一関市観光協会、岩手日日新聞社