酒造り 世界の宝に ユネスコ無形文化遺産登録 南部杜氏の里 喜び広がる【花巻】
日本の「伝統的酒造り」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録が決まったことを受け、全国に南部杜氏(とうじ)を送り出す花巻市石鳥谷地域でも喜びの声が聞かれた。
南部杜氏は、同町を中心に全国で活躍している酒造りの技術者の集団。酒造技術の研さんや後進の指導育成などを目的とした南部杜氏協会の会員数は578人、杜氏総数は185人を数え、全国でも最大規模の集団を形成する。
100回を超える南部杜氏が造った新酒の出来栄えを競う「自醸清酒鑑評会」や、杜氏と杜氏を目指す技能者らが醸造の知識と技術の習得に励む「夏季酒造講習会」を通じて伝統の技を継承。
登録について同協会の梅澤努会長(64)は「受け継いできた技が認められ、全国の蔵人(くらびと)たちが喜んでいる。酒造りに携わる若い人たちの励みになり、引き続き後継者を育成していきたい」と語った。
同町の道の駅「石鳥谷」を構成する施設の一つ、南部杜氏伝承館には登録を祝う升が飾られた。同館は実際に酒蔵として使われていた土蔵を解体し移築復元した市の施設で、南部杜氏による酒造りや歴史を分かりやすく紹介する。
館内には直径約2メートルの仕込み用桶をはじめ酒造用具などを展示。南部杜氏が醸した酒の試飲もでき、登録を祝い9日からは通常200円で2杯のところを3杯試飲できるキャンペーンを行う予定。管理運営する石鳥谷観光物産社員で同道の駅の梅野尚彦駅長(63)は「国内のみならず海外の人にも伝統的な酒造りを知ってもらえる。登録を機に海外の方にも南部杜氏のことをPRしていきたい」と話す。