一関・平泉

大船渡線と私 開業100周年プレ企画

 かれこれ65年くらい前のことです。

 当時私は学生で、陸中門崎から一ノ関まで大船渡線で3年間通学していました。蒸気機関車だったので、「ボーッ」と鳴る汽笛の音から今どのあたりか予想し、駆け足で家を出たものです。車中は学生、勤労者、行商人たちですし詰め。帰りは比較的人が少なく、座席にゆったりと座り、本を開くこともなく、外の美しい景色を見て家路に就いたものです。つらい時、うれしい時と青春時代のさまざまな気持ちを春夏秋冬運んでくれました。この線の運転手にたまたま松川生まれのいとこがいて、「きょうはいとこかな?」と汽車の先端まで行き、会えれば手を振ることも楽しみでした。

 今は誰もが座るとスマホを見て、会話も音もない静かな車中です。あの汽笛の音と、シュッシュッポッポと走る汽車は今でも懐かしく、多感な時期の良き思い出です。

 通学した3年間、何事もなく利用させていただきありがとうございました。

(一関市花泉町・高橋久子さん)


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企画/一関市観光協会、岩手日日新聞社

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