にぎわい ともし３６年　イトーヨーカドー花巻店閉店　別れ惜しみ市民ら詰め掛け　初夏にロピア開業予定

　花巻市下小舟渡のイトーヨーカドー花巻店が２６日、閉店した。３６年間続いた商業施設との別れを惜しむ多くの市民や近隣住民が来店。午後７時すぎ、多くの従業員が１階正面玄関に集まり、櫛田泰吾店長が「３６年間のご愛顧本当にありがとうございました」とあいさつした後、多くの利用客に見守られながらシャッターが下ろされた。

　奥州市江刺のパート社員玉川恵子さん（５４）は「２０年ほど前に娘の服をよく買いに来た。最後なので久々に店の雰囲気を感じたくて訪れた」と感慨深げに店舗の外観を写真に収めた。花巻市城内の鎌田貞子さん（７６）は「近くなので毎日のように来ていた。オープンした日のわくわくした気持ちをきのうのことのように思い出す。時勢だから閉店はしょうがない。今までありがとうと伝えたい」と話し、孫と買い物を楽しんだ。

　昨年１２月１１日以降は店内に寄せ書きのコーナーが設けられた。思い出や感謝の言葉を書いたり、足を止めて読んだりする利用客も多く、店内放送で櫛田店長は「地域のお客さまをはじめ商店街や行政の皆さまとともに歩んで来られたことは良い思い出の一ページ。お客さまから頂いた『花巻はイトーヨーカドーにともしてもらえた』という言葉は励みになった」と感謝の気持ちを伝えた。

　イトーヨーカドー花巻店は１９８８年１１月１６日に開業。総売場面積１万３３３７平方メートル（うち自営９２４３平方メートル）、駐車台数７９６台の大型駐車場、公共交通バスが乗り入れるバスターミナルがあり、買い物だけでなく雇用の場として市民の生活を支えてきたが、昨年２月にイトーヨーカ堂の店舗を首都圏に集中する方針から閉店が決まった。

　閉店後は首都圏を中心に食品スーパー「ロピア」を運営するＯＩＣグループ（川崎市）への事業承継が決まっており、商業施設「ＣｉｉＮＡＣｉｉＮＡ（シーナシーナ）花巻」として２月２７日に一部テナント、初夏に核店舗のロピアがオープンする予定。