大船渡線と私 開業100周年プレ企画
汽車に初めて乗ったのが、大船渡線の小梨駅から千厩駅までの区間だった。当時小学3年生で、夏休みに祖父に連れられ、小梨駅近くの親戚の家まで2時間ほどの道のりを歩いて行った。その家の庭先からは煙を吐いて走る黒くて長いものが見えた。汽車とは無縁の所で生まれ育ち、絵本などでしか見たことがなかった。ガタンゴトンと規則正しく音をたてて走る本物の汽車だ。
帰りは祖父と小梨駅から千厩駅までの一区間、その汽車に乗った。駅に入ってきた先頭の黒く大きな蒸気機関車。上から吹き出す煙、下から吐き出される白い蒸気。間近に見る蒸気機関車の大きさに改めて驚いた。千厩駅での中学、高校の級友との別れも汽車だった。
昭和43年にディーゼル車になったが、大船渡線の思い出は今でも汽車である。
(一関市藤沢町・千田博さん)
皆さまからお寄せいただき、これまでに掲載した「大船渡線と私」のエピソードを岩手日日ホームページで公開しています。
企画/一関市観光協会、岩手日日新聞社