一関・平泉

大船渡線と私 開業100周年プレ企画

 私の母は縁あって宮城の最南端よりバスに揺られ、列車で東北本線から大船渡線に乗り換え、摺沢に嫁いできました。

 里帰りが唯一の楽しみだった母と私。当時の大船渡線は蒸気機関車が走っていたと記憶しています。摺沢駅には駅員さんが何人もいて、改札口で切符を切ってもらいました。駅のホームに立ち、汽笛を鳴らしながら白い煙を上げて走って来た汽車に乗り込み、座席に着くなり母から「窓開げてはだめだぞ」と言われました。まだ幼かった私は窓を開けてみたくて「なして?」と聞くと、母は「真っ黒ぐなるがら」と言うのでした。今思えば黒いすすが付くからだったのでしょうか。

 母の里帰りの時だけ乗れる汽車。2人で乗る時のわくわくした感情は今でも鮮明に覚えています。

(一関市大東町・小島久美子さん)


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企画/一関市観光協会、岩手日日新聞社

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