大船渡山林火災 1人の遺体発見 84棟被害、800人以上避難 岩手県内全域に「警戒宣言」
大船渡市で26日午後に発生した山林火災は27日も続き、延焼が拡大した。県や市などによると、焼損面積は600ヘクタール以上、住家含め建物84棟以上の被害があったとみられ、同市三陸町綾里字小路では男性1人の焼死体が発見された。消防や自衛隊などが消火活動に当たっているが、鎮圧のめどは立っていない。
火災は26日午後1時ごろ同市赤崎町合足で発生。三陸町綾里でも出火が確認された。
大船渡署によると、27日午前7時すぎ、被害状況や安全確認に当たっていた署員が県道脇で男性1人の焼死体を発見。山林火災に巻き込まれた可能性があるとみて身元の確認を進めている。
市は26日、873世帯2114人に避難指示を出し、27日午後には赤崎町の複数の地区の467世帯1192人にも追加で避難を指示した。市によると、小学校や公民館などに同日午後8時時点で851人が避難しており、現場に近い小中学校計2校は同日、臨時休校になった。
県によると、同日は午後3時までに上空から自衛隊の大型ヘリ2機が39回にわたり計19万5000リットル、岩手、宮城、山形、福島4県と仙台市の防災ヘリ1機の計5機が26回にわたり計13万300リットルを散水。地上では地元消防などが消火活動に当たったほか、県から派遣要請を受けた総務省消防庁を通じて、宮城、山形、青森、秋田、福島各県から合わせて緊急消防援助隊約700人が現地入りした。
沿岸部では今月18日から乾燥注意報が発表されている。市などは強風の影響などにより延焼が広がっているとみており、負傷者など安否確認を急ぐ。住家など建物の被害はまだ確認できていない地区もあり、被害が増える可能性があるとして、応急仮設住宅の供与に向けた調整も始めた。
県は27日、内閣府と被災者生活再建支援法の適用に向けた調整も開始。適用された場合、住家の被害程度に応じて最大で300万円の支援金が支給される被災者生活再建支援制度を活用できるという。
気仙地域で相次ぐ大規模な山林火災発生を受け、県山火事防止対策推進協議会(会長・佐藤法之県農林水産部長)は同日、県内全域に「山火事警戒宣言」を発令。5月末までの期間中、県民に山火事防止を呼び掛ける。